日本昔話 はなたれ小僧



昔々、とある山里に一人の貧しい木こりが住んでいました。彼の名は権蔵。朝から晩まで働いても、食べ物をやっと手に入れるのが精一杯。妻は病弱で、家には小さな一人息子がいました。その子はまだ五歳くらいですが、特に目立つ特徴がありました。いつも鼻水を垂らしているのです。


村の人々は彼を「花たれ小僧」と呼び、からかったり、遠巻きにしたりしましたが、花たれ小僧はまるで気にしませんでした。むしろ、彼はいつも笑顔で、村の外れの野原を走り回り、虫や草花と遊ぶのが大好きでした。


ある日、権蔵は森で薪を集めていると、不思議な声が聞こえてきました。

「おい、権蔵や。わしを助けてくれんか?」

声のする方を見てみると、大きな木の根元に小さな赤鬼が絡まった蔓草に捕まっていました。


「お前、鬼じゃないか! 助けたら村に害をなすんじゃないのか?」と権蔵は警戒しましたが、赤鬼は必死に言いました。

「そんなことはせん! わしはただ山で迷っただけじゃ。助けてくれたら、きっと恩返しをする!」


権蔵は少し迷いましたが、弱り切った鬼を見て、心を動かされました。蔓草を切り離し、鬼を自由にしてやると、赤鬼は嬉しそうに飛び跳ねました。

「ありがとうよ、権蔵! 恩返しにお前の家族に幸せをもたらしてやる! ただし、お前の花たれ小僧を連れてきてくれ。それが約束じゃ!」


権蔵は驚きました。「息子がどうして必要なんだ?」

赤鬼はニヤリと笑って答えました。「それは来てのお楽しみじゃ!」


不思議な出会い


次の日、権蔵は息子を連れて赤鬼の指示通り山奥に向かいました。花たれ小僧はまるで怖がる様子もなく、むしろ「お父ちゃん、鬼って本当にいるんだね!すごい!」と目を輝かせていました。


山奥に着くと、赤鬼が待っていました。彼は小僧を見るなり声をあげました。

「ほう、これが花たれ小僧か!実に素晴らしい!」


「素晴らしい?」権蔵は首をかしげましたが、赤鬼は説明を始めました。

「この小僧の鼻水はただの鼻水ではない。金運と幸運を引き寄せる力を持っておるのじゃ!」


赤鬼は花たれ小僧を連れて山のさらに奥へと案内しました。そこには見たこともない巨大な木があり、その根元には湧き出る清水がキラキラと輝いていました。赤鬼は木の周りをぐるりと回りながら言いました。

「この水場は長い間、封印されていたが、この小僧の力で封印が解ける!」


赤鬼の指示で花たれ小僧が鼻水を一滴清水に垂らすと、突然、泉が激しく湧き出し、その水が黄金に変わりました。驚きのあまり権蔵は目をこすり、もう一度見直しましたが、確かに金の水が流れていました。


繁栄の村


赤鬼は権蔵に言いました。

「この金の水はお前たちのものじゃ。ただし、欲をかきすぎず、必要な分だけ使うのだぞ!」


権蔵は感謝し、村に戻るとその話を村人たちに伝えました。村人たちは最初信じませんでしたが、金の水を見て驚き、花たれ小僧の存在を尊敬するようになりました。


権蔵一家はその金の水のおかげで貧しさから抜け出し、村全体も潤い、皆が豊かに暮らせるようになりました。そして何より、花たれ小僧は村の英雄となり、誰も彼をからかうことはなくなりました。


ただ、彼が笑顔で野原を走り回り、鼻水を垂らしている姿だけは相変わらずでした。けれど、それが村の人々にとっても、幸せの象徴となったのです。


こうして、花たれ小僧の物語は村で語り継がれ、人々の心に希望を灯し続けました。


ギャグ編



昔々、とある山里に、貧乏だけどどこか憎めない木こりの権蔵が住んでいました。彼には、いつも鼻水を垂らした小さな息子がいました。村の人々は彼を「花たれ小僧」と呼び、遠巻きに見ながらも、密かに笑いのネタにしていました。


しかし、花たれ小僧本人は全然気にしませんでした。それどころか、自分の鼻水でシャボン玉を作ろうとしたり、草むらに向かって鼻水を飛ばして的当てゲームをするなど、楽しみ方の幅は広いのです。


ある日、権蔵が森で薪を拾っていると、不思議な声がしました。

「おい、そこの貧乏木こり!助けてくれ!」


振り向くと、なんと小さな赤鬼が、蔓草にぐるぐる巻きにされていました。赤鬼はあまりに小さく、「赤鬼」というより「赤豆」くらいのサイズです。


「おいおい、鬼が助けを求めるなんて聞いたことないぞ」と権蔵は笑いをこらえましたが、赤鬼は必死に叫びます。

「わしだってこう見えて鬼界のエリートじゃ!助けたら絶対恩返しするから!」


「恩返しねえ…。何かくれるなら助けてやるよ。」

「そりゃもう最高の幸運をもたらしてやる!でも条件がある。お前の花たれ小僧を連れてきてくれ!」

「息子?何でだよ。鼻水がそんなに必要なのか?」

「まあ、見ればわかる!」


鼻水パワー炸裂


翌日、権蔵は息子を連れて赤鬼の元へ行きました。花たれ小僧は赤鬼を見るなり大笑いしました。

「お父ちゃん、この鬼、ちっちゃすぎ!僕のおもちゃのほうが大きいよ!」


赤鬼はムッとしながらも、言いました。

「バカにするな!サイズじゃない、中身じゃ!さあ、その鼻水を使って奇跡を起こしてみせよう。」


赤鬼は花たれ小僧を山の奥に連れて行き、大きな木の下を指さしました。

「この泉は封印されているが、お前の鼻水ならその封印を解ける!」


「おいおい、息子の鼻水が鍵ってどういうことだよ?」権蔵は思わず吹き出しましたが、赤鬼は真剣そのもの。

「花たれ小僧の鼻水は特別なのだ!金運と幸運を呼ぶ力がある!」


赤鬼の指示で花たれ小僧が泉に向かって大きく鼻をすすり、

「えいっ!」

と勢いよく鼻水を垂らしました。その瞬間、泉がぶくぶくと泡立ち、なんと黄金の水が湧き出しました!


権蔵は驚いて口をパクパクさせながら言いました。

「こんなことってあるのか!?いや、そもそも息子の鼻水がそんな力を持ってるなら、もっと早く使わせてくれよ!」


村中大騒ぎ


権蔵は金の水を持ち帰り、村人たちに見せびらかしました。最初は誰も信じませんでしたが、鼻水のエピソードを聞くと村人たちは大爆笑しました。

「鼻水で金持ちになるなんて、聞いたことねえ!」


しかし、金の水を目の当たりにすると、村人たちは手のひらを返し、花たれ小僧を「福の神」として崇めるようになりました。彼の鼻水が村を豊かにしたのです。


ある日、村の若者が花たれ小僧に頼みました。

「なあ、俺の畑も良くなるように、ちょっと鼻水を垂らしてくれよ!」

花たれ小僧はニヤリと笑い、鼻を大きくすすり込むと、畑一面に豪快な鼻水を噴射しました。それからというもの、その畑は村で一番の豊作を誇るようになりました。


幸せと鼻水


こうして、花たれ小僧の鼻水伝説は村中に広まり、彼は「笑いと幸運の象徴」として愛されるようになりました。ただし、彼が相変わらず鼻水を垂らしながら野原を走り回る姿には、誰も手をつけられませんでした。


権蔵は村人たちにこう言いました。

「鼻水一つで人生が変わるとはな。これからは息子をからかうんじゃないぞ!いや、まあ、たまには笑ってやってくれ。笑いこそが本当の幸せを呼ぶんだからな!」


村人たちは笑い転げ、そして幸せそうに暮らしましたとさ。




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