日本昔話 踊る化け物
昔々、山奥の小さな村に、音楽と踊りが大好きな若者、太吉が住んでいました。太吉は笛の名手で、その音色を聞けば誰もが踊り出したくなるほどでした。しかし村人たちは彼の才能を快く思わず、「そんなことをしていては悪霊に取り憑かれるぞ」と彼をたしなめていました。それでも太吉はやめませんでした。夜な夜な笛を吹き、ひとりで踊り続けたのです。
ある満月の夜、太吉はいつものように村外れの森に行き、笛を吹いていました。その音色は月明かりを受けた葉っぱを揺らし、森全体を包み込みました。すると、どこからともなくザワザワと音がしてきます。太吉はふと立ち止まり、辺りを見回しました。
「誰かいるのか?」と声をかけると、森の奥から不思議な影が現れました。それは体が巨大で、顔が青白い人間のような姿をしていました。しかし、その目は異様に大きく、口は耳元まで裂けていました。
「おぉ、なんと素晴らしい笛の音だ!」化け物は声をあげました。「私はこの山に住む者だ。お前の笛に惹かれて出てきたのだ。」
驚くどころか、太吉は嬉しくなりました。「ありがとう。お前も踊るのか?」
化け物は大きくうなずきました。「もちろんだ。お前の笛に合わせて踊らせてもらおう。」
太吉が笛を吹き始めると、化け物はその巨大な体を器用に動かしながら踊り始めました。その踊りは驚くほど軽やかで、見ているだけで楽しくなるものでした。次第に太吉も化け物と一緒に踊り出し、ふたりは夜通し踊り続けました。
村人の恐怖
夜が明けるころ、太吉は化け物に「また踊ろう」と言い、家に帰りました。しかし次の日、彼が村に戻ると、村人たちは何か恐ろしいものを見たように震えていました。
「お前、昨夜あの山で何をしていたんだ?」村長が声を荒げて聞きました。
「笛を吹いて、踊っていただけだよ。」太吉が答えると、村人たちは口々に叫びました。
「あれはただの踊り相手じゃない!山の化け物だ!あんな者と関わると、村全体に災いが降りかかる!」
太吉は村人たちをなだめようとしましたが、誰も聞く耳を持ちません。それどころか、彼を村から追い出そうとし始めました。
再会と別れ
仕方なく、太吉は再び森に向かいました。そして笛を吹き、化け物を呼びました。
「村の人たちはお前を怖がっている。」太吉は寂しそうに言いました。「もう一緒に踊れないかもしれない。」
化け物はしばらく黙っていましたが、やがて微笑みました。「仕方ないな。お前は村の者だ。だが、最後にもう一度だけ踊ろう。」
月が昇るころ、ふたりは再び踊り始めました。その踊りはこれまで以上に情熱的で、笛の音色も森全体に響き渡りました。やがて夜が明けると、化け物はふっと消えてしまいました。それ以降、太吉は笛を吹いても化け物に会うことはありませんでした。
太吉の伝説
太吉はそれからも笛を吹き続けましたが、化け物との思い出を胸に秘めて、決して誰にも語りませんでした。そして彼の笛の音色はいつしか村人たちの心を和らげ、やがて村全体が踊りを楽しむようになったのです。
「踊る化け物」として伝えられるこの話は、村の人々に「恐れずに楽しむ心」を教えたのかもしれません。
ギャグ編
昔々、山奥の村に、音楽と踊りが大好きな青年、太吉が住んでいました。太吉は自称「笛界の革命児」。笛を吹きながら「俺の演奏で村中を踊り狂わせる!」と宣言するものの、村人たちは「いや、こっちは畑仕事で腰が痛いんだ」とあまり相手にしてくれません。それでも太吉は、毎晩村外れで一人コンサートを開催していました。客席ゼロ、拍手ゼロですが、彼のモットーは「俺が楽しければOK!」です。
不気味な観客登場
ある満月の夜、いつものように森で笛を吹いていた太吉。すると、どこからともなくバサバサと木の葉が揺れる音が聞こえてきました。
「おぉ、ついに俺のファン第一号か?」太吉は胸を張りました。しかし、茂みから現れたのは――身長3メートル、目玉ギョロギョロ、牙がギラリの化け物でした。
「なんだお前、妖怪界のコスプレ大会か?」と太吉が冗談を飛ばすと、化け物はニヤリと笑いました。
「いやいや、お前の笛の音に誘われてな。こんな美しい音色、千年ぶりに聞いたぞ!」
「おぉ、わかるか?俺の才能!」太吉は大喜び。「どうだ、踊ってみるか?」
化け物は少し照れながら、「え、踊れるかなぁ?体デカいし、リズム感とかないけど…」と謙遜します。
「大丈夫、大丈夫!俺の音楽は踊らずにはいられないから!」太吉はノリノリで笛を吹き始めました。
爆笑ダンスセッション
太吉が軽快なリズムを奏でると、化け物は「よっしゃ行くぞ!」と踊り出しました。ところが、その踊りがすごい。まずは腕をブンブン振り回して木を数本倒し、次にジャンプして地面に大穴を開け、最後はお尻で回転しながら周囲の草を全部刈り取ってしまいました。
「おいおい、何やってんだ!これじゃ盆踊りじゃなくて自然破壊だぞ!」太吉はツッコミますが、化け物は「いやぁ、体が勝手に動くんだよ!」と大笑い。
ふたりは夜通し踊り続け、朝になったころには森がまるで台風の後のようになっていました。
村人の大騒ぎ
翌日、村に戻った太吉を待っていたのは、激怒する村人たちでした。
「太吉!昨夜お前、何やらかしたんだ!?」
「山がまるごと更地になってるじゃないか!」
「しかも巨大な足跡が残ってるぞ!」
村人たちは大騒ぎです。しかし太吉は涼しい顔で、「いやぁ、ファンが一人増えただけだよ」と言いました。
「増えていいのは人間のファンだけだ!化け物なんか連れ込むな!」村人たちは声を揃えて怒ります。
感動(?)の別れ
太吉は仕方なく再び森に戻り、化け物を呼びました。「なぁ、ちょっと相談なんだけどさ…村の人たち、お前を怖がってるんだよ。踊りも禁止されちゃった。」
化け物はしょんぼりしながら、「そっかぁ…せっかく友達ができたと思ったのに。」と肩を落としました。しかし次の瞬間、「でも、最後にもう一度だけ踊ろうぜ!」と明るく言いました。
ふたりは月明かりの下、これまで以上にテンション全開で踊り続けました。化け物は「俺の必殺技、回転トルネード!」と言いながらぐるぐる回り、太吉も「これが俺のスーパーフィニッシュ曲だ!」と全力演奏。その騒ぎを聞きつけた村人たちは森を覗き見して、ただただ唖然。
「なんだこれ、サーカスか?」
「いや、サーカスでもここまではやらんだろ。」
夜が明けると、化け物は「楽しかったぜ、またな!」と言い残し、ふっと消えました。太吉は化け物の去った森を見ながら、「ま、俺の音楽が伝説になったってことで」と満足げに頷きました。
その後の村
その後、太吉の笛の音色と化け物の爆笑ダンスの噂は村中に広まりました。いつしか村の人々も「お前、あの踊り真似してみろよ!」と冗談を言い合いながら、踊りを楽しむようになりました。そして村の祭りでは、なぜか巨大な化け物の人形を作って踊るのが定番になったとか。
こうして、太吉と化け物の奇妙な友情は、村に笑いと踊りをもたらしたのでした。
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